服部信孝著「パーキンソン病の自宅療養」
服部信孝(はっとり のぶたか)先生
脳神経内科・内科医師。順天堂大学医学部医学部長他。
パーキンソン病研究の世界的権威。
【解説】
パーキンソン病について全般的にわかりやすく書かれた、患者様、ご家族、医療介護従事者の必携の書籍です。
【コメント】(岩井)
服部信孝先生に初めてお会したのは、江戸川区での講演会の時のこと。
当時の「江戸川区パーキンソン病友の会」の副会長を務められた大原正惠さんのご尽力で講演が実現できました。会場は満席で熱気にあふれ、成功裏に終わりました。
講演内容は、パーキンソン病の研究や治療と展望を語られ、秀抜な内容でした。パーキンソン病治療にまだまだ希望はある!そう感じました。講義されている先生のお姿は威厳があり、時に情熱的で圧倒されそうなくらいでした。
講演が終わり、会場ロビーの喫茶店で服部先生とパーキンソン病友の会の方数名と私がご一緒させていただくことになりました。テーブルを挟み私の前席に服部先生、その隣にはパーキンソン病であった当時の友の会の会長の大原二郎さん。奥様の正惠さんは用事で席を外していました。
珈琲が大原さんの前に出されると、私が気がつく前に服部先生はカップを引き寄せ「二郎さん、砂糖いれる?ミルクいれる?」と聞き、それらを入れてティースプーンで丁寧にかき回して「どうぞ」と差し出しました。服部先生は大原さんが病状で少し手が不自由なのをご存知です。服部先生は笑いながら「僕は普段こんなことはしないんだけどなぁ」と大原さんの方を見て言いました。順天堂大学の医学部長である先生が、他人に珈琲を入れることはあまりないでしょう。大原さんも満面の笑みでうなずき返していました。そのふたりを包むあたたかい空間は、医師と患者の関係を越え、絆のようなものさえ感じました。服部先生は、先程の講演の時の威厳さはなく、穏やかで優しい寄り添った眼差しで大原二郎さんを見守っていたのが印象的でした。
それはささやかなことかもしれません。しかし、私にとっては服部信孝先生のお人柄が垣間みえた貴重な体験でした。
※大原ご夫妻のお名前を掲載することの了承をご本人様より頂いています。